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最近の教科書で人類の発生の年代が変わったのはなぜですか。
従来は約440万年前のラミダス猿人の化石が最古とされてきましたが、2001年にチャドで発見された約700万年前の猿人、トゥーマイ猿人の存在が学界で認められるようになってきました。そのため、平成25年度版教科書より、新しい学説に合わせて修正しています。なお、「トゥーマイ」とは、現地語で「生命の希望」を意味するそうです。また、ケニアでは約600万年前の猿人とされる「オロリン=トゥゲネンシス」が発見されるなど、新たな化石人類の発見が相次いでいます。
人類の直立二足歩行は、アフリカのサバンナ(草原)で生活していくための適応の結果として、直射日光を浴びにくく、周囲を見わたしやすく、高い位置にある食物に手が届くようになるために変化していった、などと考えられてきました。しかし、近年発見されている人類の化石は、いずれも比較的湿潤な森林地帯で生活していたことが確認されていて、従来の説を考え直すように迫られています。
また、人類の起源はアフリカ大地溝帯の東側といわれてきましたが、そこから2500km以上離れたチャドでこのような発見があったことで、仮説を根底からくつがえす結果になりました。なお、トゥーマイ猿人の腰や足の骨は報告されていないため、確実に直立二足歩行をしていたかどうかは確認されていません。また、年代の測定法にも異論が唱えられており、議論の余地はまだ残されています。