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国際収支統計の形式はどのように変わったのですか。

 IMF国際収支マニュアルが第5版から第6版に変更されたことに伴い、2014年1月に国際収支統計の公表形式が新しくなりました。

 変更の主な背景としては、1990年代の通貨危機の経験から、対外資産・負債の残高の重要性が高まったことが挙げられます。また、経済のグローバル化や金融取引の高度化などを受け、GDP統計などのほかの経済統計との連動性が一層求められるようになったことも大きな要因です。

 国際収支統計の主な変更の一つに、項目名の変更があります。これまでの「所得収支」、「経常移転収支」が、「第一次所得収支」、「第二次所得収支」に名称変更されました。また、「資本収支」は、「その他資本収支」を除外する一方で「外貨準備増減」を統合して、「金融収支」となりました。

 また、これまでの「資本収支」の求め方にも大きな変更がありました。これまでの「資本収支」は、資金の「出入り」に着目し、資金が入ってくる資産取引から出ていく資産取引を差し引いた資金の「流入超」を「資本収支」の定義としていました。そのため、対外純資産の減少を「プラス」、対外純資産の増加を「マイナス」と表記していましたが、対外純資産残高のストックの増減から見ると、直感に反した符号(「プラス」と「マイナス」)になっていました。

 新しい「金融収支」は、前述の対外資産・負債の残高を重視する考えを踏まえて、符号の付け方の違和感を解消することになります。対外純資産の増減と整合するために、これまでとは反対に、資産の増加・負債の減少から資産の減少・負債の増加を差し引くことで、資産取引の収支を定義するようになりました。これまでの「資金の流出入」ではなく、「対外純資産の増減」という観点から、プラス・マイナスの符号が決まるようになりました。