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最近の統計で「GNP」ではなく「GDP」や「GNI」が用いられているのはなぜですか。
一国の経済活動の規模を示す指標としては、長年「国民総生産(GNP)」が用いられてきました。特に高度経済成長期においては、日本のGNPの世界での位置づけが大きなニュースになるなど、高度経済成長のシンボルともいえる存在でした。
しかしグローバル化が進むなか、日本人や日本企業が海外に進出し、外国人や外国企業が日本で経済活動を行うようになったため、ある「国民」の生産活動を基準としたGNPでは、一国の経済活動を正確にはとらえにくくなってきました。そのため2001年以降、内閣府の主要統計の一つである国民経済計算においても、日本の「国内」での生産活動を基準とした「国内総生産(GDP)」が用いられるようになっています。
また一方で、「国民総所得(GNI)」も新たに統計として用いられるようになっています。これは1993年に国連が「国民経済の体系(93SNA)」を定め、GNPからGNIへと統計の基準を変更したことによります。GNPとGNIは経済活動を生産面、所得面からとらえたもので、数値は原則一致します。この変更は、「どれだけ生産したか」という観点よりも、「どれだけ所得を得たか」という観点のほうが個人の経済的な豊かさをとらえやすい、とされたことが一因です。GNIは世界銀行など国際機関の統計で多く用いられています。なお、GDPとGNIの差となる「海外からの純所得」のほとんどは、国際収支の「第一次所得収支」(従来の「所得収支」)に該当します。