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東京都の都庁所在地が「新宿」ではなく「東京」なのはなぜですか。

 東京都の「東京都庁の位置を定める条例」では、都庁の位置を「東京都新宿区西新宿二丁目」と定めていますが、これは住所でいう地番としての意味合いが含まれています。しかし、地図帳における都道府県庁所在地は、都道府県の役所が置かれている「都市」としての意味合いが大きいといえます。それでは、新宿区は都市ではないのでしょうか。
 現在の東京23区の範囲には、かつて東京市という自治体がありましたが、1943年に東京府と東京市が合併して東京都になりました(東京都制施行)。この際、東京都の内部機関として35区が設置されました。その後23となった東京の区はほかの政令指定都市の区と異なり、区長が選挙で選ばれたり、区教育委員会・区立小中学校があったりと、市町村の機能の一部をもっています。そのため、東京23区は「特別区」とよばれています。一方、東京市がもっていた市町村としての主要な権限(上下水道の設置管理、消防等に関する権限など)は東京都がもつことになりました。また、東京都知事は「東京都の知事」であると同時に「東京23区全体の市長」としての権限ももっています。こうした理由から、新宿区をはじめとする東京23区は、各区が単独で市町村と同格にはなりません。
 このような経緯や背景もふまえて地図帳では、国土地理院の地形図(1/20万)なども参考に東京23区をひとまとまりとしてとらえ、慣習的に用いられている「東京」の名称で記載するようにしています。参考までに、国連が『世界人口年鑑』などで公表する「世界の都市人口」の統計でも、東京23区を「東京」という都市として扱っています。