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「海」と「湖」の違いは何ですか。

 海か湖か、その名前からは区別がつきにくい場合があります。例えば、カスピ海やアラル海は「海」という名前がついていても、陸によって海とさえぎられているため、地形的には「湖」として扱われています。これらの湖は、海のように広く(カスピ海の面積は37.4万㎢で、日本の国土面積37.8万㎢に匹敵します)、そのうえ湖水の塩分濃度が高いので「海」という名前がつけられたというのが通説です。
 海と湖の区別は、それが海とつながっているか、陸によって切り離されているかで決まります。海から完全に切り離されている場合は、海のように面積が広く塩分濃度が高くても「湖」になります。さらに、それが川や水道のように小さな水路で海とつながっている場合でも、両者の間で水の交流が少なく、両者の水質にかなりの違いがみられるときには、これも「湖」とされます。たとえば「黒海」は、形は湖のようですが、ボスポラス海峡を通じて地中海とつながっていて、両者の水質もほとんど違いがないので、「海」と考えられています。一方、島根県の「中海」は、砂州の切れ目を通じて海とつながっていますが、この切れ目は細いうえ、中海の水はほぼ淡水に近いため、「湖」として扱われます。
 また、「海」と「湖」は、地形的な区分ではなく、法的な根拠で区分される場合もあります。カスピ海は1998年に国際海洋法条約(カスピ海の法的地位に関する条約)で「海」として認定され、沿岸国は12海里の設定や排他的経済水域の権利を得ることになりました。「湖」と認定された場合には、湖底の石油資源は沿岸国の共有資源として扱われることになるため、石油資源をめぐる沿岸国の争いが生じる可能性もありました。