準拠ノートの回収や採点の効率化・公平化、観点別評価への対応
授業内容の定着を目的とした自学自習
準拠ノートの回収や採点の効率化
授業の予・復習を生徒それぞれが主体的に進行
生徒全員が所持しているタブレットの積極的な活用
適切な評価の実現とデジタル教材を使った「考える力」の育成
専門外科目指導の手がかりとして
準拠ノートの回収や採点の効率化・公平化、観点別評価への対応
山本 主任教諭
新地理総合
Surface
今年度から地理総合が必修科目となり、学習内容の平準化のために、準拠ノートを活用することにしました。これまでもワーク等を副教材として活用してきましたが、全員分の回収、提出状況の確認、個別に得点化するなどの作業には常に時間と場所をとられてきました。
そこで『デジタル準拠ノート』の導入を決断しました。1人1台端末の本格導入というタイミングで、全ての生徒が環境の差異なくデジタル教材に取り組めることは大きな後押しとなりました。回収や提出状況の確認、採点までをすべてデジタルがやってくれるので、教員は管理画面から各生徒の状況を確認するだけで済みます。職員室や教科準備室の机に積みあがるノートやワークの山が無くなったことが、とても嬉しいです。名前の未記入や提出遅れなどへの対応の負担も激減しました。
提出状況の確認などの事務的な作業を短縮できれば、その分生徒と向き合う時間を増やすことができます。そういった意味でも『デジタル準拠ノート』の導入は時間の有効活用につながっていると実感しています。
作業時間の大幅な軽減以外にも、提出物の採点には教員の主観が入りかねないことから、提出物をどのように評価するかについては常に頭を悩ませてきました。ワークであれば取り組みの状況をどのラインで区切り、BやCとするのか……。本当にその評価は平等なものであるのか、自分では客観的な評価をしているつもりで努力を重ねても、全クラス平等な観点で、一切のずれがなく評価していると断言できるのか、不安は尽きませんでした。
新課程導入の初年度でもある今年度において、観点別評価に組み込む提出物の採点をデジタルで行えることは、公平な評価の実現に結び付き、精神的な負担の軽減にもつながりました。デジタル教材では生徒の取り組みに対して採点がすぐに実施され、その点数は生徒も即時知ることができます。「解答結果」の正答数をもとに評価をすれば、主観や採点のタイミングによる差異は生まれません。絶対的に同じ条件での評価を保証できることは、公平な評価の実現という意味でもとても重要だと考えています。
基本的には、復習用として生徒に取り組みを指示しています。該当単元が終了次第、クラスごとに教師用管理画面の「課題管理」から課題を設定します。あとは生徒がログインしてダッシュボードから課題を確認し、解答するだけです。
教員は管理画面の「提出状況」から誰が出したのか出していないのかを確認することができますし、「解答結果」から正答数も見ることができます。取り組み状況を随時確認することが出来るため、提出時期が近付いても取り組めていない生徒に対し、個別に声をかけることもできます。これまでの提出されるまで生徒の取り組みが把握できなかった状況に比べると、個に応じた声掛け・指導もしやすくなったと感じています。
先ほど申し上げたように授業ごとに設定した課題を、定期考査ごとに期限を決め、提出をさせています。この取り組みが考査の勉強になることはもちろん、正答数も含めて準拠ノート提出点として扱うことを生徒に伝えているので、多くの生徒が積極的に取り組んでいます。デジタルならではの良さの一つとして、繰り返し問題を解くことができるということがあります。はじめは点数が低かった生徒も、何度も繰り返し解く中で満点を目指していけます。地理が得意ではない生徒も、繰り返し取り組むことで高得点を出すことができています。教科の得意・不得意に関わらず、生徒の前向きな取り組みを評価できることは、教科指導において大変重要であると感じています。また、高得点を目指して繰り返し取り組むことが、基礎的な知識を定着させることに役立っていると感じています。
とにかくデジタル上で回収・集計・採点ができることに魅力を感じていますし、教科書に完全準拠した内容という点でも安心して使うことができています。今後もこのようなソフト・サービスが教育現場の業務改善に役立てられることを願っています。
授業内容の定着を目的とした自学自習
一般教諭
地理総合
Chromebook
テスト前に自学自習用の課題として設定しています。具体的には、授業が終わったタイミングで問題の設定を「公開」にし、生徒がその日の授業内容の復習をできるようにします。1年生全員がしっかり取り組めている状況です。
教師用管理画面からは正答率・提出状況の2点を確認しています。今年度は提出状況については「主体的に学習に取り組む態度」の評価に取り入れています。様子を見ながら、来年度は正答率についても評価に取り入れることを視野に入れています。観点別評価についてはどの先生も苦労されていますから、生徒の取り組み状況がデータで確認できる、こういったICT教材は今後導入が進むのではないでしょうか。
また、解答結果を確認して多くの生徒が解けていなかった問題は、授業でフォローするようにしています。生徒の理解の状況がデータとしてすぐに確認できるという点は、こうして授業内容へのフィードバックができるのでとても助かっています。
小さなことですが、紙の準拠ノートでは白黒印刷になってしまうところ、デジタル版では写真や地図などの図版をカラーで見られる点は非常に良いと思っています。生徒もその方が取り組みやすいのではないでしょうか。
もう一つ良かった点としては、コロナ禍において「明日から学校に来られない」というような状況が生徒に発生した時に、自習の課題としてすぐに提供できるということです。他校の先生の関心も高く、使い勝手について聞かれることもよくありますよ。
準拠ノートの回収や採点の効率化
北田初男 教諭
新地理総合
Chromebook
紙と違って、何度も繰り返し解けることがデジタル教材の最大のメリットだと感じています。教員は教師用管理画面から、生徒たちがどれだけ取り組んだのかをデータで確認することができます。
年度終わりに「主体的に学習に取り組む態度」の年間評価に反映することを生徒に伝えた上で、基本的に生徒たちに自主的に利用させています。夏休みも、各自で時間を見つけて取り組むようにと伝えました。宿題として出すという使い方はしていません。正答率は低いけれど何回も取り組んだなど、生徒の「頑張り」を見ることができるので、それを評価したいと思っています。逆に、少ししか解いていない生徒はテストの点数も低い傾向があり、取り組み状況を見て個別にフォローすることもできるようになりました。
そのほかの使い方としては、毎時間、授業の 8 割済んだところで、授業終わりの 10 分程度を復習の時間に充て各自に解かせる時間を取るなどしています。部活動に熱心な学校なので、生徒によっては教科の学習時間を授業時間外に確保することが難しい場合もありますが、そういった生徒が気軽に取り組むことができますし、教員側も授業の時間調整などに利用することができるのでとても便利だと感じています。
授業の予・復習を生徒それぞれが主体的に進行
教諭
新地理総合
Chromebook
今年度、新たに必修となった「地理総合」「歴史総合」については、科の教員で大きな柱を立てました。それは、「暗記科目にしない」ということです。
とかく詰め込みの暗記科目になりがちな両科目ですが、本格的に受験の準備をしていくのは2年生からで十分なので、1年生の間は生徒の意識が暗記に向かないように、授業内ではアクティビティや考えさせる時間を大事にしたいと考えました。
一方で、テストは行う必要がありますし、その中で基本的な知識について問う必要もあります。
そこで、「今回のテスト範囲はマナシンカのここからここまでだよ」ということだけ生徒に伝えています。そうすると生徒たちは、自分で時間を見つけてアプリにログインし、問題を自主的に解いていきます。
生徒の声を聴くと、通学時間に電車の中でタブレットを使って学習している子が多いようです。アプリをダウンロードできるので、通信の不安定な環境でも隙間時間を活用してオフラインで問題を解けるのが良いみたいですね。オフラインで解答した問題も、後から生徒がオンラインで同期すれば、解答結果を教師側からも確認できます。
メインはアプリですが、自宅にある使い慣れたPCから利用したいという一部の生徒は、クラウド版でログインしています。生徒たちがそれぞれに使いやすい環境・機器で使える点がとても良いと思います。
また、一部本校の中学在籍時に選択していたコースの関係で日本語での地理の基礎的な学習が不十分な生徒がいるのですが、これらの生徒が知識の定着に使えるということで非常に活用している様子です。自分のペースで進められるのが良いのでしょう。
先ほど申し上げたように私の方で指示しているのは、「今回のテスト範囲はマナシンカのここからここまで」ということだけです。
課題として設定する機能などもマナシンカにはあることは分かっていますが、こちらでそういった管理をすることはせずに、マナシンカをどう活用するかは全て生徒に委ねています。
ただ、こちらでログインの状況は分かるので、どの生徒がどのくらい使っているかはたまに確認しています。
生徒によって適した学習方法は異なりますので、一部の生徒には「指導書Webサポート」から出力できる紙の準拠ノートを渡すこともあります。
多くの生徒は通学時間などの隙間時間を活用できることにメリットを感じている様子なので、そこでの活用が目立っている状況です。今後もこのアプリは生徒が各々で足りない部分を補うための教材として活用していってほしいと考えています。教科書に完全準拠した教材であるという点で、生徒たちも確実に教科書の内容の定着ができますし、教員側も安心して取り組ませることができます。
生徒全員が所持しているタブレットの積極的な活用
一般教諭
生徒が希望する端末を購入
(iPad、Chromebook、Windows)
茨城県では、令和3年度の入学生から生徒全員がタブレットを所持することになっており、端末をいかに活用するか、というのは課題になっていました。令和4年度からの新教科「公共」開始にあたり、帝国書院さんで『デジタル準拠ノート』があるということを知り、これならば生徒がタブレットを活用することができる、と思い導入するに至りました。
生徒がクラウドの「マナシンカ」(『デジタル準拠ノート』を利用するためのプラットフォーム)にアクセスできるようになるまでにはだいぶ時間が必要でしたが、生徒が自由にアクセスできるようになると、自分からクラウドにアクセスして取り組む、という姿も見られるようになりました。
基本的な活用方法としては、考査前の授業の復習として、生徒に取り組んでもらっています。年度当初は、定期考査対策として生徒にプリントを配布していましたが、生徒が全員「マナシンカ」にアクセスできるようになった頃から、プリントを配布せず、「テスト対策はマナシンカで勉強してください。マナシンカをやっていれば点数が取れるぞ。逆にマナシンカをやらなければ全く点数が取れないぞ。」と言って、生徒に「マナシンカ」を取り組んでもらえるようにしました(もちろん出題は「マナシンカ」からだけではありませんが)。
また「マナシンカ」では生徒の学習の取り組み状況が全て可視化できるので、「○○くんは家でよく勉強しているね」「△△くんは全く取り組んでないけど大丈夫?」と生徒に声がけをすることができ、生徒が学習に取り組む意欲を刺激するのに役立っています。
現在のところ、まだこうした使用法でしか活用できていませんが、この「マナシンカ」の懐は深く、もっと様々な活用ができると思います。一方で、今後に向けて改良してほしい点もあります。まずは、生徒がもっと「マナシンカ」に簡単にアクセスできるようになると良いと思います。また、デジタル教材は画面上で多くの問題を解けるのが利点ですが、紙の教材のようにすべての問題を一望できないので、定期試験に向けて復習する際に、生徒が若干使いづらそうな様子が見受けられました。紙の準拠ノートのように、収録されている問題を見開き表示できると良いと思いました。デジタルと紙の両方の良さがミックスされた教材にアップデートされ、より生徒が使いやすいものになっていければ、と思います。これからもさらなる活用法を探り、より効果的な運用ができるようにしたいと思います。
適切な評価の実現とデジタル教材を使った「考える力」の育成
本岡伸一 教諭
石橋孝成 教諭
新地理総合
Surface
1年間を通して、地理総合の内容を網羅するためにデジタル準拠ノートを活用しました。週2時間の授業では教科書の内容すべてを扱いきることが難しいですが、テスト前や長期休みに、授業で深く扱えなかった範囲をデジタル準拠ノートで解いてくるという課題を出すことで、教科書の内容を網羅することができました。受験を見据えても、デジタル準拠ノートで基礎を学習できることはありがたいです。
これまで紙の準拠ノートでは提出状況だけで評価していましたが、デジタル準拠ノートでは生徒の正答率や解答内容を見ることができるので、提出状況だけでなく取り組みの様子も含めて評価できるようになりました。初めのうちは、適当に入力した解答のまま提出する生徒もいましたが、正答率も評価に含めること、教科書を見てよいのでしっかりと考えて問題に取り組むこと、提出期限までであればくり返し解いてよいことを伝えると、2学期の終わりにはまじめに取り組む生徒が増えました。
長期休みには授業で扱っていない範囲を課題として出し、デジタル準拠ノートで取り組んだあとに気になったテーマを一つ選びレポートを書く課題を出しました。基本的な知識をデジタル準拠ノートで習得した後に応用まで発展させることができました。提出されたレポートは、思考力・判断力・表現力の評価に活用しました。
2学期末に実際に作問ツールで複数の資料を読み取らせて論述する課題を出しました。どの生徒も資料を読み解き、わからないことは教科書やタブレット端末で調べるなどして意欲的に取り組んでいました。多くの資料を掲載しやすいこと、またカラーで図版が見せられることがデジタルで問題を示すときによい点です。たくさんの情報の中から正しい情報を選択し、自分の考えを論拠をもとに説明する力を身に付けてほしいと考えています。
デジタル資料を使って資料を調べて考えをまとめて表現することは、これからの社会を生きる上で必須の技能です。大学や社会にでたときギャップに驚かないように、高校生の今からデジタル教材を使って学びを深めるやり方を身につけてほしいと考えています。
専門外科目指導の手がかりとして
一般教諭
新地理総合
iPad
本校は、2021年度まで地理科目を開講していませんでした。2022年度より、新カリキュラムが開始され、「地理総合」が必修となり、教材研究や観点別評価の導入とわからないことだらけでした。そこで、生徒たちの学習に役立てるツールとして、デジタル準拠ノートを採用しました。
本校は、「地理総合」の授業においてiPadを使用しています。現在では、全校生徒が学習用端末を持っているため、学校としてもICT教育を推進しているところです。このような状況から、地歴科・公民科では、新たに始まった「地理総合」で帝国書院の『デジタル準拠ノート』を採用し、端末を使用した家庭学習をはじめました。基本的には、定期試験範囲の箇所を試験日までの課題として設定し、各自が学習を進めるといった方法で活用しています。デジタル準拠ノートは、本校で採用している帝国書院の教科書『高等学校 新地理総合』の内容に沿って構成されているので、生徒は紙の教科書を読み進めながら学習者用端末で学習に取り組めるので、定期試験対策の教材として最適です。また、生徒たちは、中学生の時にワーク学習が主流だったようで、慣れ親しんだ学習手段として活用でき、何度も解きなおしができるデジタル準拠ノートは良く活用しているように思います。内容も教科書の基礎的、基本的内容をきちんと固めることができ、苦手意識のある生徒にも有効だと思います。また、教員側も教師用管理画面利用し、取り組み状況の把握ができるため、学習指導にも役立っています。特に文系科目の勉強方法がいまいち掴めない生徒からすると、このようなデジタル教材があると学習しようと取り組む姿勢も見せてくれますので、教員側も導入して良かったと感じています。このように、あくまで本校は授業中の確認として活用するわけでなく、家庭学習での活性化と定期試験対策が一番の目的です。ご家庭でもiPadを活用して、学習している様子を見せることができ、納得してくれていることと思います。