■ 帝国地図　1920（大正9）年刊　
　帝国書院創立後，初の文部省検定済地図帳　帝国書院創立時の東京市は，麹町区，神田区，日本橋区，京橋区，芝区，麻布区，赤坂区，四谷区，牛込区，小石川区，本郷区，下谷区，浅草区，本所区，深川区の15区からなっていた。
　市街地に隣接する農村部などには，荏原郡，豊多摩郡，北豊島郡，南足立郡，南葛飾郡の５郡が置かれていた。
　本書での都市図の扱いは少ないなかにあって，東京市はA5判２ページと格別の扱いとなっている。
　附図に示される横浜市は，まだ区政が敷かれていない時代である。

■ The New School Atlas　1949（昭和24）年刊
　戦後初の文部省検定済中学校用地図帳　検定にはGHQの検閲もあり，タイトル，凡例，注記などは英訳が必要であった。表見返しの世界政治区分図に「NO OBJECTION （問題なし）」というGHQの検印が押されている（インド洋の下の付近）。この政治区分図から第二次世界大戦直後の世界情勢がよくわかる。

■ 小学校社会科地図帳　1955（昭和30）年刊
　検定制度が敷かれた小学校用地図帳の初版本　日本の産業（1）では，日本列島各地の農業・牧畜業・林業・水産業を扱うが，そのようすを小学生の目で見てわかりやすく，しかも親しみやすい挿し絵を多用して表現している。両脇には，「③火山のすそ野と牧牛（鳥取県・大山）」，「④海をうめて陸地を広げようとする人々の努力（岡山県・児島湾の干拓）」，「⑦平野の生活（北海道・石狩平野の下流地方）」，「⑧砂丘と水田（新潟県・越後平野の海岸地方）」など，具体的な生活の舞台を親しみやすい鳥瞰絵図で表現している。

■ COMPLETE ATLAS OF JAPAN　1964（昭和39）年刊 　東京オリンピックに合わせて発刊した英語版の日本地図帳　オリンピック開催年の昭和39年１月に発刊する。本書には日本に関する基礎知識として，等高段彩表現の各地方図のほかに，国立公園，気候，産業，鉄道図，航空路図および東京の鉄道図・地下鉄図などの資料図も用意されている。
　巻頭で扱われているこのページは，訪日する外国人観光客にとって知名度の高い富士山が臨場感をもって見られるように，起伏がよくわかるレリーフ表現で描かれている。

■ 航空路御案内　1975（昭和50）年
　昭和天皇皇后両陛下の御訪米に合わせて作成したルートマップ　日本航空の依頼により，両陛下が機内でご覧になるルートマップを作成し，日本航空に納入する。表面は植生表現の世界地図，裏面は植生表現のアメリカ合衆国の大きな地図で，それぞれ地図上に航空路が示されている。