発達段階を考慮した地図づくりと地図活用能力

帝国書院 地図編集室

帝国書院では大正6年の創業以来,学校用地図帳を約100年にわたって作り続けており,現在では小学校用,中学校用,高等学校用として5種類の教科書地図帳を刊行しています。

それぞれの校種において,子どもの発達段階や,学習内容は大きく異なってきます。帝国書院の地図帳は,小・中・高での連続性を持たせ,さらにそれぞれの校種における発達段階や学習内容に配慮して作成されています。

小・中学校地図帳での連続性とちがい・・・色(凡例)

27年度用小学校地図帳 P.34@

▲27年度用小学校地図帳 P.34@

8年度用中学校地図帳(見本)P.108@

▲28年度用中学校地図帳(見本)P.108@

小学校用地図帳と中学校用地図帳では,小・中の連続性を考慮して,色や記号といった要素・表現は大きく変えないようにしています。特に日本部分は,学習上有用な土地利用表現をどちらの地図帳でも採用しています。その表現は,上図のように,市街地や水田,畑,果樹園等の色分けは小中とも,ほぼ同じにしています。

一方,小学校用と比較して,中学校用地図帳には濃い緑色(茶畑)があることが目につきます。これは,中学校では東海地方の農業の特色として静岡の茶栽培を扱うことへの配慮からです。それぞれの学習事項を考慮し,発達段階に応じた資料提示を心がけています。

小・中学校地図帳での連続性とちがい・・・地図記号

日本製紙石巻工場

▲27年度用小学校地図帳 発電所の記号

石巻工場 国内最大級のN6マシン

▲28年度用中学校地図帳(見本)発電所の記号

地図記号に関しても同じことが言えます。上図のように,小学校用地図帳で使用している地図記号は,中学校用地図帳でも同じものを使っています。しかし,中学校用地図帳では,学習内容が高度になる分,右のように「堆(バンク)」や「サンゴ礁」などの地図記号もいくつか新しく増やしています。
堆(バンク)の記号 サンゴ礁の記号

▲堆(バンク)の記号     ▲サンゴ礁の記号       
ともに28年度用中学校地図帳(見本)

小・中学校地図帳で育みたい地図活用能力

地図帳は小学校では4年生から6年生まで,中学校では1年生から3年生まで続けて使うものでもあるので,その地図活用の技能習得(資料活用能力の習得)について可能な限り連続性をもたせることが大事であると考えました。そこで中学校用地図帳においては,小学校用地図帳の内容や要素をふまえて,より高いレベルの技能を習得できるよう,配慮しています。

この6年間の中で,子どもたち一人ひとりが国語辞典などと同じように“ツール”としての地図帳を使いこなしていけるよう,発達段階に応じた地図活用スキルの習得・向上が求められます。

以下に,6年間を通して育んでおきたい地図帳活用能力をまとめました。

☆ 小学校段階

ポイント…地図帳に慣れさせながら,基礎・基本となる知識や活用方法(方位・さくいん・地図記号・等高線・縮尺など)を理解させ,基本的な使い方ができるようになることが重要です。


  • 方位記号を活用し,4方位・8方位を読み取ることができる
  • 等高線の概念を理解する
  • 地図記号を活用して,単純な地図の読み取りができる
  • さくいんを活用して,地名を探す能力
  • 縮尺の概念をおおまかに理解し,地図から実際の距離を求めることができる(縮尺のめもりの活用ができる)
  • 地図帳の大まかな構成を理解し,学習のめあてに応じて地図帳の開くページがわかる
  • 47都道府県の名称と位置をある程度理解する

  • 地図の凡例と地図記号に着目して,地図をおおまかに読み取ることができる
  • 統計資料や,単純な統計地図(主題図)を読み取ることができる
  • 地球儀や地図を活用し,世界の6大陸と3大洋の名称と位置を理解する
  • 世界のおもな国の名称と位置(20か国程度)を理解する
  • 47都道府県の名称と位置をほぼ確実に理解する

  • 学習で出てきた地名について,自発的に地図から探すことができる
  • ニュースなどに興味をもち,日本・世界の地図を活用して探すことができる
  • 地球儀を使い,おもな国の日本から見た方位を理解し,時差や気候などに興味をもつ
  • 47都道府県の名称と位置を完全に理解する

☆ 中学校段階

ポイント…総合的な地図活用能力が求められるようになります。中学校入学段階で,どの程度の知識や技能が身についているかを確認し,不十分な部分を補っていくことが肝要です。


  • 州など世界の大きな区分や,おもな国(世界の3分の1程度)の名称と位置を理解する
  • 地図を大観し,地域内や地域間の差異や同質性を理解することができる
  • 世界地図や主題図を活用して,世界各地域の自然環境や文化,産業などの様子を読み取ることができる
  • 歴史事象の起こった場所を地図で確認し,空間的な広がりの中で歴史事象を捉えることができる

  • 日本の地域区分の概念や,47都道府県庁所在地の名称を理解する
  • 地球儀や地図を活用して,時差について理解することができる
  • 日本地図や主題図を活用して,日本各地域の自然環境や文化,産業などの様子を読み取ることができる
  • 複数の主題図や地図を関連させながら,事象同士の関係を読み取ったり考えたりすることができる
  • 地形図を活用し,地域の様子を捉えることができる
  • 縮尺から実際の距離を計算することができる

  • 世界の国際情勢・国際関係を地図や資料から考えることができる
  • 社会的事象に関心をもち,地図や資料からそれらについて調べることができる
[平成28年度用内容解説資料]

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