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社会科Q & A − 公民
Q1:「公定歩合」の用語はどのように取り扱ったらよいですか?
A. 「公定歩合」は日本銀行が市中銀行に資金を貸し出す際の利率であり、その操作は日本銀行の金融政策において中心的な役割を担ってきました。しかし、1994年の金利自由化によって公定歩合と市中銀行の金利との間に連動性がなくなり、さらに96年には日本銀行によって「金融調整の手段として用いない」とされ、その役割は大きく変わりました。さらに2006年には、日本銀行の統計において「公定歩合」の用語は「基準割引率および基準貸付利率」と改められ、「公定歩合」の用語は使われなくなっています。
  「政策金利」という呼称が用いられることがありますが、こちらは日本銀行による短期金融市場の金利誘導目標である「無担保コール翌日物金利」を指すのが一般的です。「基準割引率および基準貸付利率」と、2008年に導入された「補完当座預金の適用利率」を含めて「政策金利」とする場合もありますが、「政策金利」イコール従来の「公定歩合」とはいえません。
  このような情勢の変化を受け、教科書の記述も変更いたしております。中学校教科書では、今日の日本銀行の姿を伝えることを重視し、「公定歩合」の用語は掲載いたしておりません。高校教科書では、アメリカなど他国の金融政策に関連して「公定歩合」を学習する機会があると考え、語句を残しております。金融政策の一つである「公定歩合操作」についても、「日本銀行」としてではなく「中央銀行」一般のものとして扱っています。
Q2:最近の統計で「GNP」ではなく「GDP」や「GNI」が用いられているのはなぜですか?
A. 一国の経済活動の規模を示す指標としては、長年「国民総生産(GNP)」が広く用いられてきました。とくに高度経済成長期においては、日本のGNPの世界での位置づけが大きなニュースになるなど、高度経済成長のシンボルともいえる存在でした。
しかし国際化が進む中、日本人や日本企業が海外に進出し、外国人や外国企業が日本で経済活動を行うようになったため、ある「国民」の生産活動を基準としたGNPでは、一国の経済活動を正確には捉えにくくなってきました。そのため2001年以降、内閣府の主要統計の一つである国民経済計算においても、日本の「国内」での生産活動を基準とした「国内総生産(GDP)」が用いられるようになっています。
また一方で、「国民総所得(GNI)」も新たに統計として用いられるようになっています。これは1993年に国連が「国民経済の体系(93SNA)」を定め、GNPからGNIへと統計の基準を変更したことによります。GNPとGNIは経済活動を生産面、所得面からとらえたもので、数値は原則一致します。この変更は、「どれだけ生産したか」という観点よりも、「どれだけ所得を得たか」という観点の方が個人の経済的な豊かさをとらえやすい、とされたことが一因です。GNIは世界銀行など国際機関の統計で多く用いられています。

Q3:「有限会社」が会社形態として取りあげられなくなったのはなぜですか?
A. 2006年の商法改正以前の会社組織は、商法が規定する「株式会社」「合名会社」「合資会社」と、有限会社法が規定する「有限会社」の四種類となっていました。このうち有限会社は、設立時の最低資本金が株式会社よりも低額であり(株式会社は1000万円、有限会社は300万円)、比較的小規模な経営に適した企業形態となっていました。
しかし2003年以降、この「最低資本金」を引き下げる特例制度が実施され、株式会社・有限会社とも「1円」となり、あえて有限会社を設立するメリットは少なくなりました。そして2006年には、国際化など近年の経済情勢に対応するために商法が大幅改正されました。これにより有限会社は、商号に「有限会社」の文字を残す特例有限会社として存続することは可能ですが、新設することはできなくなりました。
この改正に伴い、新たに「合同会社」という企業形態が新設されました。これは株式会社や有限会社と同じく有限責任の社員からなるものの、取締役や株主総会(社員総会)の設置義務がなく、利益配分の方法も社員の総意で自由に決められるなど、経営の自由度が大きいのが特色です。起業にあたり合同会社の形態を選ぶ会社も増えています。
Q4:「消費者保護」という言葉が最近あまり使われないのはなぜですか?
A. 1968年に制定された消費者保護基本法において、政府の消費者行政の中心は、消費者に比べ強い立場にある企業の活動を規制し、消費者への情報提供や苦情処理などを行うことでした。
  しかし1990年代に入り、政府の規制緩和や自由化の流れの中で、規制によって問題の発生を未然に防ぐ「事前規制型社会」から、ルールに違反した対象を事後的に処罰する「事後規制型社会」への転換がはかられました。また情報化の進展などによって次々と新たな消費者被害が発生するようになり、あらかじめ法的規制を設けることが難しくもなっています。
そこで、20004年、消費者保護基本法は制定以来初めて改正されました。従来規定のなかった「消費者の権利」を明確に打ち出すと共に、消費者自身にも積極的に知識や情報を得ることが求められました。法律名の「保護」の文字がとれたことからも、同法が自立した消費者の育成をめざしていることがわかります。このため教科書としても、消費者の自立支援という側面から、消費者行政について記述することが増えています。
Q5:地方自治のしくみに関し、「助役」や「出納長(収入役)」が記載されなくなったのはなぜですか?
A. 多様化する住民のニーズに対応するとともに、国と地方の関係を見直し、より一層の住民自治を実現するために、地方自治法が2007年に改正されました。これにより、大日本帝国憲法下での市町村制の制定(1888年)以来設置されてきた、市町村の「助役」「収入役」、都道府県の「出納長」の役職が廃止されました。
首長を補佐する「助役」は、「副市長」などの呼称に改められました。副市長は、首長の事務権限の一部を委任されて実行できるようになるなど、その権限は強化されました。これにより、首長はより一層、市政運営や政策立案に集中できるようになりました。
また会計の責任者である特別職の「収入役」「出納長」は廃止され、会計は一般職の「会計管理者」が担当することになりました。これはコンピュータ化が進むともに、情報公開や監査制度の進展で透明性が増しているため、会計の特別職の必要性が少なくなっているためでもあります。会計の最終的な責任者は首長となり、財政状況が悪化する地方公共団体が増える中、首長の責任が明確になりました。
Q6:地方交付税と地方交付税交付金の違いはなんですか?
A. 地方交付税は,国が徴収している税の一定割合を地方に移していますが,位置づけはあくまで地方公共団体独自の税です。そのため,「国庫支出金」などとは異なり,地方交付税という呼称になっています。一方,国からみると,集めたお金を地方に移しているため,「地方交付税交付金」という呼び方になっております。
Q7:中学校公民教科書で,国の歳出では「国債費」,国の歳入では「公債金」となっているのはなぜですか?
A. 公債は国が発行する国債と,地方公共団体が発行する地方債をあわせた名称ですが,この「歳入」の図においての「公債金」は国債に該当します。そのため,実質的に「国債金」と表記しても誤りではありません。しかし,財政法における歳入の規定で「公債」という文言が用いられているため,統計上は「公債金」と表記されています。一方「歳出」に関しては,財政法上特に規定がないため,国債を償還するための費用という意味で,「国債(国債費)」という表記が慣例で用いられています。
Q8:中学校公民教科書で「国家の要素」に「人口」を挙げているのはなぜですか。「国民」とする場合もあるのではないですか?
A. この国家の定義は,19世紀後半のドイツの国法学者ゲオルグ・イェリネックによるもので,正確に訳すなら領土,人民,主権となります。国際政治学上では,こちらが使われます。しかし,人民という観念は共産主義運動で多用されたため,「人々」という意味よりも政治的な方向性をもってしまいます。そこを注意して,「人民」ではなく「人口」と表記しております。イェリネックの人民観念には人民が政府の主役だという判断はなく,そこに住んでいる人以上の意味はないので,人口という訳は適切だと考えています。
 なお,イェリネックは法実証主義の立場に立つ代表的国法学者であり,ハンス・ケルゼンの師にあたり,君主の専制支配に反対した自由主義者です。
 イェリネックに従うと,国民があるから国家ができるのではなく,その領土に住む人々を国民として国家の側が認定するわけですから,国家の成立要素としては国民という表記は成り立ちません。もちろん,歴史主義の立場に立って,国民国家が自然本来の存在だと考えるのなら国民でよいわけですが,この場合は国家に「要素」という概念が当てはまりません。その場合は,国民が国家に先行するからです。このような背景から,人口という用語を使用しています。